all title
文字数順
1~10 piece
*
焔
煙
*
残光
寂寥
*
然らば
愛を、
*
光の色彩
たそかれ
*
真実の舞台
死して刻む
水晶の屍体
爪先に刺青
悲鳴を削ぐ
泣かない春
*
うつくしき人
憧れは陰の中
老いては還る
信じて、いる
*
6000度の体温
有限の縁に立つ
巡る日を慈しむ
まなうらの星座
輝け少年少女!
きらめけよ希望
バニラ色の心臓
きみはずるい人
地獄を含む紅玉
*
もう一度のない夜
駱駝色の夢のなか
心の臓を刃として
まばゆさを儚んで
泪さえ凍える夜半
いずれ骨になる雫
届かない息の重さ
みかんせいな太陽
朝を、待つ、孤独
星の真裏で笑って
指先は百億光年先
行き詰まりの終幕
耳鳴りが抉る心臓
夏半ば、音は無し
*
さよなら私の魔王様
眼窩に朝焼けを飼う
星の尾には届かない
さざ波と屑星の狭間
虹の橋へしずむとき
青白い指先のなぞる
アンドロメダを待つ
歌姫に護られた孤独
君の温度が零になる
真夜中のモノローグ
悲鳴を内包した背骨
指先でくすぐる仕草
ならば心臓を貫いて
鼓動の落ちている胸
細胞からきみを愛す
楽園にはほどとおい
氷砂糖のかたいとこ
あの日恋した雀です
残された胸のさざ波
逃げ水に顔のない君
Nightmare scars
*
0.3秒、緞帳は降りず
きみこそが世界だった
この世界をきみに捧ぐ
焼け野が原に君在りて
君去りし日の空は赫く
秒針を忘れてきたよう
まどろみにあるエデン
雪にうもれた花ひとつ
月の氷にほほえむ吐息
いつか星になる爪の先
夢みた春にころされて
心の臓から生まれる歪
おまえの肋に棲む魔物
並びあわない魂の群れ
背中で恋がころがった
きみが永遠になる理由
ずるいほど愛にみちて
みかづきの冠をせおう
きっと輝くためのひと
あくまでも僕のはなし
傍観者と神様のえにし
使者よ、美しき死よ、
君を愛して生きている
最期をいつくしむひと
その眼差しに恋をした
おやすみ私の愛の最期
ネバー・エバー・レイ
さようならを思い出す
マーメイドサイレンス
まぼろしのなかの明日
意志の中に住まうひと
数え歌の代わりの鼓動
君と星をわけて食べた
神様にあいされたひと
もれなく魅了する魔法
足跡だけが背後に立つ
鎖のかかった檻のなか
*
11~20 piece
*
ごめんで終わる世界の話
やさしさを飲み込んだ朝
みどりの丘の夜は更けて
すべる指先に溶けだした
灰になってもあいにきて
きみの銀河に咲いたほし
あなたのいない春へゆく
あいされたのは君だよ。
肥大した皮に溺れる末路
太陽をいただいたこども
ありふれた日々に光射す
静謐の箱はこころにある
きみは夜明けにひかる星
似た者同士と気づけない
つちくれに響かすアリア
もし、あなたの小指さん
最初からないはずのもの
はやく灰になるための薪
もっと低い声で話してよ
まだ涙になるには早くて
指先から蕾、爪先から根
干上がった皮膚だけが愛
銀色の中の私をさがして
尻尾をピンと立てて去る
メモリー・オブ・エデン
深淵すら流し込んだ眼窩
メメントモリの透明標本
まぼろしを反芻する双眸
群青色の面影はただ嗤う
舞台上がこの夢のすべて
マーメイドシンドローム
*
かきけされた言葉のありか
傾いだこころのなおしかた
どうか泣かない夜を迎えて
桜花の闇はざらめのにおい
あなたの肩で言葉が融ける
ころしてしまった音の一部
あふるるいずみの底には泪
留めてはおけないのです、
苦しむ夜明けのエトランゼ
なけなしの勇気が空を切る
いつかみた星をおもいだす
「みみかせ」「はいはい」
まぼろしみたいな恋をして
背筋のピンと伸びるような
大人になるにははやすぎた
甘いだけの世界でよかった
雨天決行のローズガーデン
これはきみのための涙だよ
シュガースパイスとレモン
拝啓ハンプティダンプティ
私は私の世界しか知らない
闇色でカーテンを縫ってね
泣かないでいいのよ、ママ
首を吊っても叶わないから
蜂蜜づけの指先であいして
人間はいつも嘘をついてる
赤い月を食べたことある?
まあいっかで落とす角砂糖
まっすぐに響かせたエール
未来じゃなくて今がほしい
ルール無用の無敵のかたち
残響よ真夜中を割いて行け
答えはきみの中にだけある
ふりむきざまに消えた陽炎
夜長にまぼろしは訪れない
手中綻びゆくマザーグース
きみを地面に落とした女、
はしのはしまでばからしい
真実をくだいた後の歯触り
まだそのいのちを信じてる
心があるなら歌っておいて
陰影だけが遺された背表紙
*
いつかの愛をゆめみたこども
「そんなのよかったんだよ」
熱が冷めてもとなりにいてね
やいてやかれて砕いてみせて
そしてこの空は繰り返さない
あなたのような瞳になれたら
深海の底であなたの声を聞く
いつか幸福にまみれる時まで
春を言い訳にすればよかった
語るなら明日、嘆くなら昨日
ルームライトは三時に消える
運命と言ったらはなで笑った
かまわないから奪ってみてよ
あいもかわらず地獄のとなり
好きだなんてきみは言わない
キンモクセイがくすぐる鼻先
結局ぼくが可愛いのはぼくだ
ひとりの独りは平気なくせに
いつも二人だよって言ってよ
きみのこぼしたさいごの音だ
見ないふりをしていたでしょ
飲み乾せないのはこのこころ
この瞬間愛が涸れる訳でなく
僕も好きだよと笑う顔が好き
仕方ないことならいいのにね
確かに私を助けた貴方の体温
さよならを永遠の冬にした日
いつかを待っていた、ずっと
ごめんねと笑う位なら泣いて
喉が渇いてしょうがなかった
同じでいなくてよかったのに
遠くに行って帰ってこないで
だってもう終わりなんだから
決して明けぬ夜がないように
陽はかげれども花はほころぶ
されど、折れぬ、ひとで在る
あなたのわらうさいごなら、
はるかの距離も心は跳べるの
つま先だってひかって見える
正解じゃなくても笑っていて
未完成な星をむすぶ糸は赤い
リンクするのは私たちの鼓動
*
いちにのさんでハッピーエンド
この胸からなくしたものがある
傷だらけの思いでも前を向いて
まるいおめめが美味しそうだね
きみにはかなわないんだろうな
ヴァーミリオン、光射す君の髪
まあるい月に見とれて過ごした
また、雨が嫌いな理由が増えた
まだ埋まらない喉の奥にある穴
きみの返事を是とするための命
楔のように胸を穿ったままの熱
何れくる日には陽炎を揺らして
光源になれなかった成れの果て
泣いてしまえるほどの夜にして
硝子みたいなプリズムが似合う
繰り返し愛してるって言わせて
まだ、もう少し、夢をみさせて
あなたを羽織れば涼しいかしら
onlyではなくlonelyだっただけ
*
もう二度と振り返らない遠き明日
きみと永遠を結んで呪いにしよう
きみの瞳にオーロラが見えたんだ
いらなくなったらこっそり捨てて
いつかは途絶える鼓動でこたえて
けしてほどけない結び目はないよ
捨ててしまえる程度のプライドさ
小口に埃をためていた、多分今も
わざとじゃないのと笑ってみせる
透明をとかしたらなにになれるの
いつか消える逃げ水を追いかけた
悲しむには惜しく笑うには苦しい
永遠があるならきみとあなたの間
涙が宝石になれば愛してくれたの
のんだ呼吸をリフレインする鼓膜
真珠が美しいことを知っているの
まだきみが粉々になって最初の夏
*
ただひとつのつながりにしがみつく
私の動脈にはあなたがあふれている
呼んですがってほしかった、きみに
信じたかったのはまさしくきみだよ
くるいかたのわからない幼子なので
あなたのいない世界は今日も美しい
ほんとはきみの生死に興味もなくて
恋しい人の名前と蝉の声は似ている
今日だけ肩を叩いても笑ってあげる
二度とない瞬間を網膜に焼きつけた
いなくならないでって言わせないで
この世界をきみたちの唄が色付ける
*
救ってほしかったのは私などではない
「だって、私はあなたではないから」
ついそう、エチュード、ほろ苦ビター
見ていたはずの背中に、手は伸ばせず
ひっそりと、その強さは燃えつづけて
忘却、幸せの代価、もてあました信仰
永遠に混じりけのないものになりたい
児童書の隅に置き忘れた言葉のひとつ
砕けてとがっても愛だったものだから
ウインクが世界を救う日もあるんだよ
くすぐったい幸せがあふれる陽だまり
きみの瞳はどんな宝石より美しく光る
輝くきみたちに私たちが翼をあげたい
来年も再来年もみんなでお祝いしよう
再会を約束する言葉でさよならをして
*
この病がいつかあなたを死なせるならば
未完成の感情と取り戻せない昨日のこと
咲かないつぼみを一生大事にする気持ち
明るいところで息をしてみたかっただけ
いつか振り向いた足跡が光り輝くように
眼前にまばゆく生きるあなたがいるから
知らなかったころには戻れないんだから
*
あの石はきみが息をしていた頃に似ている
ざらめのように甘くてすこしだけ苦いもの
真ん中に穴があいたらしあわせになれる?
いつだって星も花もあたしたちの賑やかし
指先がずっとほどけない呪いをちょうだい
この心の全てはあなたのためにあったのに
私のいのちでかかる虹を祝福と笑えばいい
*
臓物を捧げても聞き届けられない願いもある
*
21~ piece
*
欲しがってけれど手にできなかったもののこと
いつだって届かないところにいる貴方が良かった
あなたの胸に流れる音楽は私と同じではないから
きみのしあわせに僕のこころが要りませんように
「できるかな、僕に」「あなたにしかできません」
苦しかった、悲しかった、でも、好きでいたかった
愛されて疎まれて泥々の世界はそれでも歌を求めていた
あなたのいない世界ならきっとこんなに愛しくなかった
のどもとにつかえた愛をいつかのみこんでしまえたならば
春があるなら攫ってしまえた(けれど私は春を知らない)
なくしたものなどないはずなのにただただ胸が痛むのでした
あの置き傘は捨ててしまってね、きっと必要ないものだから
きみがきみでいられるように、泣いてしまっても笑えるように
もうきみは忘れてしまったかもしれないけれど、あの日きみのくれた熱が僕の胸を焼き尽くしたんだよ
back